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2018-12-21

編集長からすべての作家にラブコール! 花とゆめ編集長・佐藤一哉 魂の叫び!!

もし、「マンガラボ!」に投稿した作品に複数の雑誌の編集者からオファーが届いたら…あなたは誰を選びますか? 思ってもみなかった編集部から熱いオファーが届くなんてこともあるかもしれません。
今回は、各雑誌を代表する編集長から将来、白泉社の作家となるかもしれないみなさんへの熱いメッセージを聞いてきました! 個性豊かな編集長&編集部の魅力をご覧ください。

【調査隊チェック!】

1974年、白泉社の創業とともに誕生した、歴史ある少女まんが誌。1975年に隔週刊化する際の二大看板は『ガラスの仮面』(美内すずえ)/『スケバン刑事』(和田慎二)。まるで大河ドラマのような重厚なストーリーと怒涛のアクションに細やかな心情描写が加わり、新しい「少女まんが」の扉を開いた。以降『ここはグリーン・ウッド』(那州雪絵)、『学園アリス』(樋口橘)、『赤ちゃんと僕』(羅川真里茂)、15年を超える長期連載『スキップ・ビート!』(仲村佳樹)など「BOY MEETS GIRL+α」の読ませる連載が多数!2019年には名作『フルーツバスケット』(高屋奈月)のリブートアニメ化も決定している。

【佐藤編集長の推しコメ】

「花とゆめ」のターゲット読者は、中高生女子です。恋愛にはもちろん興味津々ですが、それ以外にも彼女たちが「心を動かされること」がたくさんあるはずです。「花とゆめ」は、ファンタジーからギャグまで創作の幅が広いのが特徴だと思います。また、隔週刊ならではの作品のドライブ感、疾走感も魅力のひとつです。掲載ジャンルに特定の縛りはなく、少女まんが誌の中でもかなり自由度の高い雑誌だと思います。

「いい意味での個人商店。特徴ある編集者が自由に雑誌を作っています」

「花とゆめ」編集部のスタッフは性別も年齢層もバラバラです。2019年で創刊45周年を迎えますが、おそらく昔から、それぞれの編集者が自分の得意分野を活かして作品を作りあげていく、個人商店の集合体的な側面があったかと思います。

現編集部でも、重厚なファンタジー作品が得意な編集者もいれば、ときめき重視で色気のある男の子のキャラづくりが得意な編集者もいますし、ギャグやコメディが得意な編集者もいます。

「花とゆめ」23号の巻頭口絵では「インスタントめん」大特集をしていますが…これは『俺様ティーチャー』の担当者が作ったものですね(笑)。ちょうどその時期に、『俺様ティーチャー』最新刊や増刊「ザ花とゆめ笑」の発売が予定されていたので告知もできるように考えたようです。作中でカップヌードルを食べるシーンがありますから、工場見学特集をしてみたらどうだろう?と。

「花とゆめ」では、こういった雑誌の口絵(カラーページ)は、口絵担当者がチームを組んで企画を持ち寄り、それぞれで作っています。読者が興味を持ってくれる内容であることはもちろんですが、スタッフが面白がって誌面作りができたら、雑誌にもバラエティが出て良いのではないかと思っています。

「花とゆめ」の増刊号の「ザ花とゆめ」も、「花とゆめ」らしい自由さが出ているもののひとつですね。2018年からリニューアルして、毎号テーマをもうけるようにしました。
1号目がファンタジー、2号目でサマーラブ、3号目は表紙のキャラがハートと米を持っている通り…ラブコメ特集です。増刊号は私ではなく副編集長が統括して、若手スタッフと一緒に、毎号いろいろと試している最中です。
毎号テーマで色付けしつつも、増刊はあくまで新人さんの活躍の場です。「マンガラボ!」から入ってきてくれる方々にもチャンスがいっぱい回ってくると思いますし、ガンガン目立ってくれたらいいなと思います。

「キラリと光る片鱗をみせてほしいです」

「花とゆめ」のまんが賞として、「HMC(花とゆめまんが家コース)」が通算500回、また年2~3回募集で通算70回をこえる「ビッグチャレンジ賞」があります。どちらも歴史の長いまんが賞です。こうした既存の賞では、作家さんがキッチリまとめあげて提出された作品を大事にしていきたいと考えています。
一方で、「ラボ!」ではそこまで作りこめていなくても、最後までたどりついていなくても、片鱗さえ見せてもらえれば一緒に作っていける可能性があると思っています。
それこそ引きだけがすごくて、読者も一緒にハラハラするような作品もウェルカムです。かの名作『ガラスの仮面』の第1話も、引きとドライブ感がとんでもないですからね。ある意味「花とゆめ」の漫画の伝統芸かも知れません。
「花とゆめ」や「LaLa」の少女まんがの歴史は、完成されたストーリーや作画に加え、まんが家さんたちの圧倒的な熱量、情熱によってつくられてきたものだと思っています。重視したいのは、これを描きたい、伝えたいという気持ちの強さです。もう「これがほとばしったから! これ描いたから誰かキレイに整えて箱詰めしてよ」みたいな想いで「ラボ!」に投稿してもらってもいいかなと思います。

「あなたのためを思っていることに偽りはない」

投稿さえしてもらえれば、すくいあげることには自信があるといいますか……まんが家さんをサポートすること「しか」できないので、全力でやります。
今の世の中、まんが家さんひとりでも作品を発信できます。でも、あなたのためを思って、作品をより良くしようと思う人が目の前にいるのは、そんなに悪いことじゃないと思うのです。担当者のことを、良いところをすくいあげて、キッチリ読者までお届けするための「味方」だと思ってもらえるとうれしいです。
「ラボ!」だけでなく、編集部に直接持ち込んでいただくのも、もちろん大歓迎です! 「ラボ!」でのメッセージ欄も含め、編集部には「好きなまんがの話を一緒にする相手がいる」くらいに思って、気軽に相談してもらいたいです。

 

「あなたの魅力を磨いて、読者を振り向かせたい」

長いこと白泉社で少女まんが誌の編集をさせてもらっていますが「新人やまだ売れっ子とは言えない人の中にも素晴らしい作品を描かれるまんが家さん」は大勢いらっしゃいます。そういう作品を投稿時代から読んでは「ああこの人のまんがが好きだなぁ…この人の描く世界は素晴らしいなあ…」と思いを募らせ「どうしたら読者に振り向いてもらえるか」と考えるのが、まんが編集者です。
上手にセルフプロデュースができる作家さんもいらっしゃいますが、すべての方がそういうわけではないと思いますので、少しでも編集者を頼っていただきたいですね。編集者は基本前に出ないので気づかれにくいと思いますが(気づいてもらわなくていいのですが)、ヒット作の陰には必ず、作品を支えた編集者はいます。ですから、ぜひ投稿してみてください。

「マンガラボ!」編集チームが見た「花とゆめ編集長」

とつとつとゆっくり優しい声でお話してくださった佐藤編集長。居心地のいいカフェの店長さんのような包容力で、個性派揃いの「花とゆめ」編集部をまとめているようです。

『花とゆめ』月2回 5日・20日発売

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