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2024-07-01

祝・マンガラボ!5周年記念インタビュー!! 第6回/高﨑真晴先生

2019年3月に本格オープンしたマンガラボ!は、おかげさまで5周年を迎えました!

それを記念して、3年ぶりにマンガラボ!出身作家さんと担当編集の対談企画が復活! 知っているようで知らないマッチングしてからデビューまでのお話や、連載にまつわるエピソードに答えていただきました!
第6回は、マンガParkでの初連載作品『ブラザーステップストリングス』がめでたく完結を迎えた、高﨑真晴先生です!

♡『ブラザーステップストリングス』はコチラから
♡高﨑真晴先生の作業環境プロフィールはコチラから

マンガラボ!に投稿したきっかけとマッチングの経緯を教えて下さい。

高﨑真晴 :きっかけは、身内の子からの「自分で描いたマンガがネットに上がってるから見て!」の一言でした。その子の投稿先がマンガラボ!さんだったんです。見に行ってみたら、ページの一番下に「白泉社、本気であなたと向き合います。」というスローガンがあって。なかばいろいろ諦めていたのが、その言葉に後押しされて「ここに投稿してみよう!」と。それまで長い停滞期間もあったんですが、2020年に急にやる気になってマンガラボ!に投稿を始めました。たしか4本投稿したときにマッチングのご連絡をいただいて、現在の担当であるトミーさんと出会いました。

LaLaトミー :「この人めっちゃ画力高いな!」が最初、次に思ったのは「なんてぶっ飛んだ話描くんだ(笑)」でした。その時アップされているものは全て目を通したのですが、『男体盛り(料理)BL』(※1)やら『獣人バトルBL』(※2)みたいな大分尖った感じのものばかりで……わたしはぶっ飛んでて好きだったのですが(笑)。

※1…マンガラボ!投稿作品『美食王子のフルコース
※2…マンガラボ!投稿作品『ビーストマニア

高﨑真晴 :投稿がとても簡単だったので私でも続けられました。「プロを目指している」等のタグではっきり意思表示できるのも良かったです。

LaLaトミー :商業にするとなると読者を選ぶなとは思いつつ、画力の高さは申し分なかったのでマッチング希望を出しました。正直に言えば「この作者どんな人なんだろう、一回話してみたい……」くらいの好奇心が強かったですね。上手く商業ナイズできそうならラッキーだと思っていたら、想定以上に柔軟な方だったので、大ラッキーでした!(笑)

最初に担当編集と打ち合わせをした時のことを教えてください。

高﨑真晴 :緊張で体調を崩して、微熱は出るわお腹は下すわでかなり消耗したタイミングで電話を受けたのを覚えています。初めましてのトミーさんは「高﨑さんのこのキャラは私はこう思っていて! こうだったらもっと……!」的な、なんというか、熱意を感じるというか、私は「他人の妄想にそこまで本気で熱弁するこの大人、大丈夫?」と思ったのを覚えています。

LaLaトミー :その第一印象、担当ついて1年以上経って、初めて対面でお会いした時に言われて爆笑しました(笑)。

高﨑真晴 :「白泉社、本気であなたと向き合います。」が想像以上に本気だった。

LaLaトミー :高﨑さんの最初の印象は「柔軟で大人な人」でした。作品は尖ってるし、画面からも熱量みたいなものを感じていたので、なんとなく我の強そうな人を想像していました。なので、こちらの感想やらアドバイスやらを電話口で“聴いて”“咀嚼して”、後日反映したものをきっちり準備してくる、どちらかというと受け身な姿勢を意外に思いました。

高﨑真晴 :ネームを何回か見てもらい、ネームの返事待ちの間に絵とカラーの練習、次に描きたい案などを用意するというのを繰り返す中で、少しずつどういう作品が求められているのか自分なりに学んでいきました

LaLaトミー :当初からマンガを趣味として描くというよりも、商品として提供したいと思っているのが伝わってきて、いい意味で仕事人だなと思いましたし、今でもその印象は変わりません。

そんな打ち合わせを経て、『ブラザーステップストリングス』はどのように生まれたのでしょうか?

高﨑真晴 :トミーさんに練習絵を送る度に「このキャラが好きです!」みたいなコメントをいただいて、それを元に絵柄を広げる練習をしていたのと、「高﨑さんの絵は外国が舞台とか合うかも」という意見ももらっていて、試しにそれを全部盛りにして提出したのがきっかけです。

LaLaトミー :『ブラスト』の提案前後にいくつかネタをもらっていたんですが、題材の“ひねり”の要素がちょっと重すぎて、BLにおけるメインのキャラの感情や関係性よりも尺を取っちゃいがちだったんですよね。毎回「もう少しシンプルめなのください!」って言ってました。出てきた中で一番シンプルだったのが「母親の再婚でイタリア義弟ができて求愛される」ネタでした。

高﨑真晴 :舞台がイタリアなのは、トミーさんの「最近のオシャレ男子はインスタにいる!」という意見からインスタで毎日イケメン探索をしていたところ、たまたま目にしたびっくりするくらい美しい街の写真に感動して……。それがイタリアのフィレンツェでした。そこから「イタリアといえば、バイクと車とブランド品とサッカーと3大バイオリン……」と広げていって、私がたまたまビオラを弾いていたことがあったので、バイオリニストの義弟にして……とまわりを固めていきました。

LaLaトミー :『ブラスト』に限らずですが、高﨑さんの提案してくれるネタは細部の解像度がやたらと高いんですよね。ビオラやってたという話は、ネタをまあまあ練り上げたタイミングで聞いたんですが、とても腑に落ちました。自分の中の引き出しを上手くエンタメに昇華できるタイプなんだな~と。義弟のダンテは色気のある絵柄に合いましたし、ちょっと臭いセリフを言わせてもいい味を出してくれてよかったです(笑)。

高﨑真晴 :ダンテは動かすのに苦労しました……。キャラ表で見た目は決めていたものの、動く人物としてマンガで描くのがうまくいかなくて、キャラクターの見た目を考える以上に動かすのは難しいという知見を得ました。

舞台をイタリアにするにあたって、資料集めや作画のコツなどはありましたか?

高﨑真晴 :美しい写真はインスタグラムで見たものを参考に、生活感ある情報はXやYouTubeで実際に住んでいる日本人の方の体験談を集めたり、本を買って読んだりしていました。情報だけでは絶対足りないところがあるので、実際のイタリア住みの方に見つからないように祈りつつ……蛇口やドアノブやガスコンロやコンセントなど、ちょっとしたところに「日本感」がにじみ出てしまわないように気をつけていましたね。

LaLaトミー :そんなことしてたの全然知らなかったです……!(笑)  出来上がってくる原稿を見て「解像度高いな~。住んでたことあるのかな~」くらいに見てた(笑)。

高﨑真晴 :読む方に没入感を持ってもらいたいのでがんばりました。ただ、とにかく作画の時間が足りなくて……。特に背景はもっと素敵に仕上げたいのですが、人物優先で、残った時間でやりくりして……というのがやっとでした。

LaLaトミー :背景や細部にこだわりすぎて時間が足りない!みたいなところも含めてやはり仕事人ですね。

高﨑真晴 :大変だった分、読んでくれている方からのいろんな反応がめちゃくちゃ嬉しかったです!

ずばり、作画の秘訣はなんでしょう?

高﨑真晴 :セリフとシーンを表現するのに最適な絵にしよう、1コマ1コマちゃんと見る価値のある絵にしようと思って描いています。ペン入れはアナログです。

LaLaトミー :いやほんと衝撃なんですが、あの繊細な原稿、仕上げ以外は基本アナログなんですよね。

高﨑真晴 :人物はGペンとスクールペン、髪の毛は丸ペン、背景はスクールペンとドローイングペン0.05を使っています。インクは開明墨汁で、伸びの良さ・濃さ・仕上がりの美しさがとにかく素晴らしく、長く愛用しています。

LaLaトミー :1コマ1コマ美しくて完成度がとんでもないですよね! ダンテのビジュアルやイタリアの街並みなんかは本当に高﨑さんにしか描けないものだと思います。

『ブラザーステップストリングス』の連載を終えて新作を準備中とのことですが、現在の打ち合わせシーンを教えてください!

高﨑真晴 :毎回、私的には渾身のネームを出しているつもりなのですが、ことごとくまっとうな指摘が返ってきて「指摘された通り変更した方が良いものになってる!」ということが多々あります! 一人で描いていた時には考えなかった展開やセリフに出会えているので、ネームの直しは悔しくもあり面白くもあります。

LaLaトミー :悔しがってる素振りが全くないので、そんな風に思っていたとは気づきませんでした……!

高﨑真晴 :あとは、描いてるジャンルがBLなので性癖の話をする時めちゃくちゃ恥ずかしいんですが、トミーさんが己のヘキをすごく披露してくれるので、それに引っ張られてなんとかついて行っています。

LaLaトミー :性癖の話だけに限らず、作家さんの思っていること、やりたいことを聞き出さないと始まらないので、恥を忍んで自己開示しています(笑)。

高﨑真晴 :ネームも打ち合わせも、気持ち的には馬と騎手のような……。物理的な動力はあくまでも馬(自分)にあって、歩幅や行き先を調整してくれるのが担当編集の方というイメージです。

マンガラボ!に投稿して良かったことを教えてください。

高﨑真晴 :マンガラボ!さんは、とにかく編集の方の目に触れる機会が多いのが良いと思います! コンテストのジャンルが豊富で回数も多い、さらにコメント強化企画もあって、こういうタイミングをうまく利用して自分のマンガをブラッシュアップしつつ担当編集の方へのアプローチができるのは、商業を目指す方にとっては一挙両得だと思います。あと個人的には自分の過去作のアーカイブになるのが嬉しかったです。これまで描いてきたものが並んでいるのを見て自分の傾向を見直すきっかけにもなると思います。

LaLaトミー :これはマンガラボ!でもそれ以外のマンガ賞でも同じですが、継続してマンガを描き続けることが大事かなと思います。一度の投稿ではマッチングやデビューに至らずとも、何度も投稿してくれればこちらも自然に作家名を覚えて気に掛けるようになりますし、なによりマンガにかける情熱や根性は指摘して得られるものではありませんからね!

高﨑真晴 :あと、怒られるかもしれませんが、私的には投稿し始めのころ「無料でマンガの添削をしてくれる!」くらいに思っていました。

LaLaトミー :その表現、天才ですね(笑)。

高﨑真晴 :お金を出してマンガの学校に通わなくてもタダでマンガの勉強ができる! 最初はそんな感じの動機で投稿してもいいと思います。

LaLaトミー :本当にその通りだと思いますし、編集部でもラボ!で気になる人の新作を待ってたりします。「マンガを描いてみたい」「感想が欲しい」くらいのかる~い気持ちでラボ!に投稿いただいて、こちらのフィードバックが意欲に繋がったり、マンガを描くことを楽しいと思ってもらえたら嬉しいです。私もそんな気持ちになるようなコメントをできるように心がけますね!

最後に、マンガラボ!に投稿する方へのメッセージをお願いします。

高﨑真晴 :マンガってそう簡単に描けるもんじゃないです。少なくとも私はそうです。しんどいこともわかってるから、手放しにマンガ描くの楽しいよ!とは言えないです。ただ、描かないと前に進めないし、成果物がないと誰も評価できません。マンガに向き合っている中で、まわりに劣った自分に卑屈になり、まともに完成作が作れず何年も棒に振ったり、消えて楽になりたいと思うことも普通にあると思いますが、問題も不安も全部解消されるなんて日はおそらく来ないと思うので、いい意味であきらめて、不安を持ちつつ問題を抱えつつ頑張りましょう。私も頑張ります。

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高﨑真晴先生、ありがとうございました!
『ブラザーステップストリングス』最終回は、ぜひマンガParkでチェックしてみてください!

ラスト第7回は8/3(月)にぼくじゅう先生のインタビューを公開! お楽しみに!

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