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2018-12-06

「コミックスができるまで」“白泉社一同、あなたをサポートします!”~販売部編~

「マンガラボ!」で編集とマッチングした後、実際に白泉社で漫画を描くことになったらどんな人たちが自分の作品に関わるの? そんな疑問に答えるために、今回は、白泉社の心強いコミックス販売サポートについて、販売部の片貝さんにお話を伺ってきました。

販売部…販売部販売1課課長代理 片貝健司

「40年の歴史に基づく販売戦略を駆使しています!」

――まず、販売部のお仕事について、教えてください。

雑誌やコミックスの発行部数を決めて、各書店への配本数を検討、店頭フェアやイベント企画など、本を売るための準備をしています。日頃から、書店や販売会社とコミュニケーションをとり、白泉社の本が大きく展開できるように営業活動をしています。

現在、全国に書店は大小合わせて約10,000店あります。書店ごとに売れる作品や得意なジャンルが異なります。白泉社は40年以上漫画を作って売ってきた歴史と実績があります。その中で蓄積したデータを集めて分析し、作品にあった配本や展開を決めています。

「新連載も白泉社一丸となって売っていきます」

――書店さんとのやりとりがメインとのことですが、他部署と連携して何かを行うことはありますか?

編集部や宣伝部と定例会などで頻繁に情報交換をしています。
編集部や宣伝部からは作品内容や読者傾向、宣伝企画などの情報を聞いて、販売部からは売上データの提示、発売のタイミングやフェアの提案、コミックのサイズや定価設定などの意見を出したり、時には他社作品の売上調査を行ったりして、作品が一番良い状態で書店に並ぶように準備をしています。各部署と連携して良い企画がまとまった場合は、新刊の部数を上乗せすることもあります。

毎年10月から12月に実施しているオススメ新作フェア「白泉少女漫画団」などの定期フェアや、作品のアニメ化や実写化などの大きな企画の際は、約1年前から各部署と連携して準備を進めています。

販売部は普段から雑誌のチェックも欠かしません。『墜落JKと廃人教師』は新連載が始まったときから販売部でも面白いという意見が多く、コミック発売前に100人以上の書店員に試し読みをしてもらい、感想や展開方法、希望数についてアンケートをとりました。

この作品は、ラブコメなのでラブコメ配本を意識しましたね。色気のある綺麗なイラストを描く作家さんですので、読者にカバーイラストをしっかり見せてあげることが有効だと考えたので、アンケートに答えてくれた書店員さんにはカバーイラストをしっかり見せられる平積み、面出しでの展開を条件に、希望数どおりの配本を行いました。

「マンガ好きな書店員さんの愛ってすごいんです」

――ラブコメ配本とはなんですか?

ラブコメ作品とファンタジー作品では読者層が微妙に異なります。『なまいきざかり。』や『高嶺と花』など既存のラブコメ作品の売上データを参考に配本を考えます。

また、先ほど少しふれましたが、書店ごとに立地や客層で買われる本のジャンルが変わりますので、ラブコメに強い書店で重点的に展開します。例えば、大阪の天王寺という地区は、駅から300メートル圏内に5つの書店があり、そのうち3店舗が白泉社のコミック売上で全国ベスト100位以内に入る全国でも屈指の激戦区です。激戦区ですが、女性向けファッションビルに入っている書店はラブコメ作品が強く、アニメ・コミック専門店ではファンタジー作品が強いなど、それぞれお店の傾向があり、客の好みを上手く取り入れて売り上げを伸ばしています。そのような店舗特性のデータも持っていますので、作品の傾向に沿って、細かな展開が可能です。

さらには、作風が似ている作品をたくさん売っている書店員さんや、ラブコメジャンルが得意な書店員さんのデータなどもありますので、事前に作品をオススメしておいて、一番目立つ場所で展開できるように準備します。書店員さんは好きな作品や得意なジャンルを徹底的に推してくれますので、この作品なら、あの書店のあの担当さんは絶対好きだろうとピックアップしておいて、新連載が始まった際は声をかけるようにしています。

書店員さんを動かすこと。これが一番大事だと思います。過去のデータ、書店の立地も重要ですが、書店の担当者が変わると、売り上げは大きく変わります。書店員さんの頑張りって本当に大きいですよ。

「書店に白泉社の棚があることが強み」

――出版社でマンガを描く強みってなんでしょうか?

コミックスを出す環境が整っているということです。コミックスが出るということは、全国でたくさんの人に作品を知ってもらう機会ができるということです。

白泉社は40年以上漫画を作って売ってきた実績があり、多くの書店さんから信頼をいただいています。書店の限られたスペースの中で、白泉社作品棚が必ず用意されていることがその証だと思います。全国の書店に必ず白泉社の作品を置くスペースがある、ということは老若男女問わず、たくさんの人の目に触れる機会ができるということです。

それと、漫画担当の書店員さんって白泉社の漫画を好きな人が本当に多いですよ(笑)。新連載が始まると発売日に感想を送ってくださったりする書店員さんがたくさんいます。厳しい意見を言われることも多いですが、その分しっかりと白泉社作品を前に出して展開してくれます。

私たちからも書店員さんに試し読みをお渡しして、意見を聞いたりアンケートに答えてくれた方には配本や特典などで優遇したりと、お互いに情報交換をしながら、白泉社ファンをさらに増やすように努めています。

コミックスを売るノウハウがあり、売場が準備されている。作品の魅力をアピールする準備は出来ていますよ。

「売るためならコスプレもします!」

――片貝さんは以前、コスプレをされたと伺いましたが本当ですか?

白泉社では、毎年初夏に全国の書店員を集めてモニター会を開催しています。イチオシ作品のプレゼンをしたり書店現場の意見をお聞きしたりする会ですが、その年は『ぽちゃまに』という作品を推していました。ちょっとふくよかな女子高生が主人公のマンガで、プロモーションで実写映像を作成しました。撮影のときに主人公役の芸人さんが着た女子高生の制服がありましたので、モニター会を盛り上げるため着ちゃいました(笑)。けっこう反響がありましたよ。その時に撮影した画像が書店員さんの間で広がり、営業先での良い話題になりました。作品もたくさん展開していただけました。

それがキッカケでその後数年は、販売部の誰かがコスプレをする流れになりました(笑)

片貝さんがコスプレした『ぽちゃまに』

書店員さんに白泉社は面白いことをやっているという印象を残して、まずは作品を知ってもらって、さらには展開してみようと思ってもらえたら成功なので、作品のためなら何でもやりますよ(笑)

「作品作りに没頭してください!」

――これから新しい作家さんを発掘する場として、「マンガラボ!」がスタートしますが投稿を考えている方にコメントをお願いします。

どんなジャンルの作品でも待っているのでたくさん送ってきてください。書店に白泉社の棚は確保してあります。「マンガラボ!」に投稿して晴れて白泉社でマンガを描くことになったら、販売部が責任を持って全国の書店に商品を届けます。

僕たちは、いい作品を絶対に無駄にしないという姿勢で書店に紹介しています。白泉社でマンガを描くことになったら、売ることに関しては心配せず、作品作りに没頭してください!

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