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2024-05-06

祝・マンガラボ!5周年記念インタビュー!! 第3回/愛葉もーこ先生

2019年3月に本格オープンしたマンガラボ!は、おかげさまで5周年を迎えました!

それを記念して、3年ぶりにマンガラボ!出身作家さんと担当編集の対談企画が復活! 知っているようで知らないマッチングしてからデビューまでのお話や、連載にまつわるエピソードに答えていただきました!
第3回は、マンガParkで『その記憶はありません』を完結&最終回後を描いた番外編が掲載中の愛葉もーこ先生です!

♡『その記憶はありません』はコチラから
♡愛葉もーこ先生の作業環境プロフィールはコチラから

マンガラボ!に投稿したきっかけとマッチングの経緯を教えて下さい!

愛葉もーこ :たまたまX(旧Twitter)でマンガラボ!に投稿している方を見かけて存在を知り、自分がどのジャンル・雑誌に向いているのかわからず悩んでいたので、アドバイスが欲しくて投稿しました。担当希望が来ると1ミリも思ってなくて、全く下心もなく期待もしていなかったので、1日以内にコメントと担当希望が来て大変驚きました!

花ゆめ長谷川(彩) :テンションの高いラブコメが好きだったので、ドタイプでした。スーツ姿のイケメンが脳内で男子高校生相手に大暴れしているショートなのですが、とにかく勢いが良くて(笑)キャラが立っていたので、長いお話も読んでみたいと思い、お声がけしました。

愛葉もーこ :花とゆめの編集さんだったのも意外すぎて「『ガラスの仮面』と同じところに担当ついた!!!」と家族全員に連絡しました(笑)。

初回の打ち合わせではどのようなお話をされましたか?

花ゆめ長谷川(彩) :初めてお話した時からとても明るくて、すぐに「この作品を描いた作家さんだ!」となりました。愛葉先生は他社でも連載経験があり、私自身は入社1年目のひよっこだったので、かなり緊張していたのですが、穏やかにお話をしながら真剣に今後のことを考えてくださり、緊張があっという間にほぐれました。

愛葉もーこ :花とゆめはファンタジーのイメージが強かったのですが、現代もののお話もあるという事や花ゆめからBL雑誌が創刊される事などお聞きした後、お互い好きなアイドルグループが同じだということがわかって、推しの話題で盛り上がりました(笑)。

花ゆめ長谷川(彩) :アイドルという共通の趣味もあるので、今でも雑談はたくさんしてしまいます(笑)。

そんな打ち合わせを経て連載作品を立ち上げるまでの経緯を教えてください。

愛葉もーこ :最初は、ギャグBL読み切り『黒宮昴はお礼がしたい!』(マンガPark読切特集に2021/1/28~掲載)を描かせていただきました。ギャグ4コマメインで制作したので、次はストーリーマンガに挑戦したくてBL読み切りネームに取り掛かりましたが……。

花ゆめ長谷川(彩) :マッチングした時からキャラ力の高い作家さんだと思っていたので、ぜひ長編も描いていただきたいと思っていましたが、ストーリーマンガに挑戦された当初は、コマ割りにとても苦労されていた記憶があります……。

愛葉もーこ :大苦戦し、ネーム選考も当然のごとく落ちました(笑)。ギャグ4コマはいかに1ページに情報を詰めてテンポを良くするかが重要なのに対し、ストーリーマンガはどれだけ間をうまく使えるか、セリフを減らすかが大事なので……。その感覚を取得するために「Trifle by 花とゆめ」「ザ花とゆめ」などの読み切りを分析して勉強しながら連載ネームを制作していました。『その記憶はありません』は、4案出した中で一番長谷川さんの反応が良かったので、それに決まりました。

花ゆめ長谷川(彩) :元々『その記憶はありません』はもっとライトなBLで、記憶喪失のふりをしたら相手の恋心がわかって……というお話だったのですが、打ち合わせをしていくうちに愛葉先生の執着キャラへの強いこだわりがビシビシと伝わってきて(笑)、「これはそっちを描くしかないでしょう!」と本格サスペンスものに舵を切っていった感じです。入社してから初めてマンガParkで立ち上げた連載でしたので、私としても思い入れが強いです。

本格サスペンスものを描くにあたってのストーリーの組み立て方や、打ち合わせ内容についてお聞きしたいです!

愛葉もーこ :記憶喪失になった理由から先に考え、事件と黒幕を最初に決めてから、逆算してストーリーを作りました。連載が決まった時に編集部の方から主人公の記憶が戻るタイミングのアドバイスをいただき、それも反映しながら全体の流れを組み立てていきましたね。

花ゆめ長谷川(彩) :サスペンスということでお話作りが大変だったと思いますが、愛葉先生の構成力が光っていました。アプリ連載なので、1話32ページを8ページずつ、4チャプターに分けて配信する構成なのですが、愛葉先生は8ページごとに引きを作る天才だと思います!

愛葉もーこ :ありがとうございます! 引きやオチはかなり意識して作っています。

花ゆめ長谷川(彩) :これが本当にすごくて、もうぜひ見ていただきたいのですが……。マンガParkで連載される新人作家さんには、必ず「『その記憶はありません』を見て!」とお話しているくらいです。次の更新が気になる!というところで引いてくれるので、読者さんにも長く愛されたのだと思います。

愛葉もーこ :本当にありがたいです……。

花ゆめ長谷川(彩) :打ち合わせでは、謎が解けていくペース配分や、2人の関係の進展を話し合ったのが楽しかったです。「そろそろラブ欲しくないですか……!?」みたいな、私欲も入れ込んだり……(笑)。

愛葉もーこ :ヤンデレ気味でとにかく受けが好きすぎる攻めのおかげで、いい感じに「怪しさ+謎+ハラハラ感」と「ラブ」のバランスが取れました。

BLマンガならではの制作エピソードはありますか?

愛葉もーこ :個人的に、BLで一番言われたらダメな感想は「受けが女に見える」「この設定女じゃダメだったの?」だと思っているので、見た目が可愛くてもちゃんとBL(男同士)に見えるように、言動や食べ物の好み、趣味などの設定に気をつけています。

花ゆめ長谷川(彩) :拓斗は可愛らしい受けですが、言うことは言うし、男の子だな……と感じられるのが良いです。結城の愛が凄すぎて強硬手段に出まくっているのですが、拓斗が一方的にやられっぱなしにならないのが、この2人の美味しいポイントだなと思います。

愛葉もーこ :あとは、BLだからこそ「男同士」をフル活用する設定、意外性は入れたいと思っています。たとえば、記憶喪失になった主人公が女で、知らない男から「オレは君の恋人だよ」と言われても驚きはありませんが、主人公が男なのに恋人が男だと「え!?」ってなると思うので……。そういう意外性は今後も入れたいです。

マンガラボ!でデビューして良かったことを教えてください。

愛葉もーこ :1作目の読み切り『黒宮昴はお礼がしたい!』のネームが終わった頃、ありがたい事に数社からオファーが来ていたのですが、全ての担当さんから「愛葉さんは男女のギャグかラブコメの方がいい」と言われました。自分的には『その記憶はありません』の様なBLが描きたかったので、描きたいものが描かせてもらえない自分の未熟さに落ち込んでいたのですが、その時に長谷川さんだけが「まだこの段階でギャグだけに絞るのはもったいないです! 色々好きなの描きましょう!!」と言ってくださり、長谷川さんと一緒に頑張りたいとすべてのオファーを断りました。今、色々描かせていただけるのも長谷川さんが私を信じて支えてくれたおかげなので感謝しています。

花ゆめ長谷川(彩) :嬉しい~……。実は、編集部内でもネームを提案した際に「愛葉先生にはギャグを描いてもらった方が……」と言われたりしたのですが、愛葉先生とお話すればするほど「大前提のキャラ力があって、こんなに面白いストーリーを考えられて、描きたい萌えが明確にある作家さんなんだから、絶対ストーリーだ!」と思い、のらりくらりとかわしていました(笑)。今では電子BL雑誌「Trifle by 花とゆめ」で、愛葉先生の別のストーリー連載(※1)が表紙を飾ったり、「ザ花とゆめ」ではBLの前後編シリーズもの(※2)を描いていただいたり、ストーリーマンガの作家さんとして引っ張りだこになっていて、私もとっても嬉しいです。

愛葉もーこ :「花とゆめ」は少女マンガ以外にもBL誌(「Trifle by 花とゆめ」)や少年誌(「少年ハナトユメ」)もあるので、ジャンル問わず何作か掛け持ちで描かせていただけたりもしますし、雑誌以外にマンガParkで連載することも可能なので、私のようにどのジャンルが合うかわからない方に、ぜひおすすめしたいです。

花ゆめ長谷川(彩) :「Trifle by 花とゆめ」でも、マンガラボ!出身の作家さんが多く活躍しています。描きたいものや、これが好き!これに萌える!というパッションがある方、大歓迎です!

※1…『片想い中の後輩とマッチングが成立しました』
マンガParkや白泉社e-net!ほか各電子書店にて、story01~05配信中(2024/5/6時点)。

※2…『もう一度君に会えたなら』
「ザ花とゆめアイドル」(2024/3/1号)に前編、「ザ花とゆめアニバーサリー」(2024/6/1号)に後編が掲載。電子版は、マンガParkや白泉社e-net!ほか各電子書店でも配信中(2024/5/6時点)。

最後に、マンガラボ!に投稿する方へのメッセージをお願いします。

愛葉もーこ :私は担当さんから的確に欲しいアドバイスを頂けて、ネームが格段に上手くなりました。マンガラボ!は、もし担当がつかなくてもアドバイスがもらえるのでとても勉強になると思います。

花ゆめ長谷川(彩) :当たり前と思われるかもしれませんが、白泉社の編集部は皆マンガが大好きです。誰もがマンガ愛をもって働いているので、ぜひお気軽に投稿や持ち込みをしていただければと思います。

愛葉もーこ :デビューした人、担当がついた人に対して劣等感や焦りを感じる方もいるかもしれませんが、マンガを1ページでも描き上げる事自体がすごい事なので、マンガ描いた自分すごい!えらい!!!そして投稿する行動力素晴らしい!と、自分に優しく、楽しくマンガ制作をしてほしいです。自分の好きを信じて、マンガ制作一緒に頑張りましょう!

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愛葉もーこ先生、ありがとうございました!

第4回は6/3(月)に木ノ枝純先生のインタビューを公開! お楽しみに!

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