toggle
2026-07-10

「その顔、反則級♡ メロ男子コンテスト」開催記念! メロ作家にメロい男子(イケメン)を描く秘訣 聞いちゃいました ~窪田マル先生の場合~

マンガラボ!では現在、「その顔、反則級♡ メロ男子コンテスト」を開催中 (詳細はこちら)
その開催を記念して、5月についに感動の完結を迎えた「君となら恋をしてみても」の著者であり、メロい男子のプロフェッショナルである窪田マル先生に、イケメンを描くコツ、マンガそしてイラストといった幅広い範囲でのご活躍の秘訣、さらにコンテストに応募する皆様へのエールなどたっぷりをお伺いしました。

プロフィール
 窪田マル
マンガラボ!出身。2020年「BLマンガコンテスト」に応募した「図書館のゆうれい」がマンガPark賞を受賞。2021年マンガPark連載開始の「君となら恋をしてみても」はシリーズ累計50万部を突破し、惜しまれつつも2026年5月に完結。さらに、最終巻となる第8巻を2026年8月5日発売予定。また、実写ドラマ化やボイス化など幅広く展開され、非常に多くのファンに支持されている。作業環境プロフィールも公開中!
©窪田マル/白泉社

マンガParkにて、『君となら恋をしてみても』『されたがりベイビー』を描き、キュンが止まらないキャラの魅力が支持されている、窪田マル先生。そんな窪田さんがマンガを描かれるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

窪田マル :両親や友達などマンガ好きな人に囲まれて育ったので、いろんなジャンルのマンガに触れる機会が多かったのと、自分自身が空想好き・絵を描くのが好きな子どもだったので、自然とマンガ作りに移行していったような気がします。友達と一緒にオリジナルキャラを作ってストーリーを妄想しておしゃべりしたり…。それが今の仕事につながっていると思います。

Park玉田 :遊びの延長で無意識的にマンガを描かれるようになったんですね! ではマンガ家を目指したきっかけは?

窪田マル :マンガや絵を描くのが好きでしたし、それ以外の仕事をすることを考えてなかったんですよね。だけど案の定、就活時期に困ってしまって…。悩んでいた時に友達から「マンガを描きたいなら持ち込みや投稿も就活の一環なんじゃない?」と言われて、漠然としていた将来に対して「マンガを仕事にする」という意識に変わりました。それから編集部への持ち込みやコンペへの参加を始めて、今に至ります。

窪田さんが描くイケメンには、さりげないのに、気づいたら心臓を鷲掴みされているような「メロさ」が詰まっていると感じます。そんな「メロ男子」はどのように生まれているのでしょうか。魅力的なキャラクターを描くためのこだわりや心がけていることはありますか?

窪田マル :こだわり…たくさんあるんですけど、まさに「さりげなさ」はかなり大切にしています。無意識にやっているような愛情表現が好きで…! そしてそのさりげなさを気づける相手がいることまでがセットですね。

Park玉田 :龍司と天はまさにそうですよね。

窪田マル :そうですね。龍司をはじめ、私の作品に出てくるキャラクターは、強烈な個性や特殊な設定はほぼなくて、主人公らしくはないのが特徴だと思っているんです。それでも「メロい」と言っていただけるのは、キャラクター本人が意識していない、特別ではないはずの言動の魅力に気づける相手がいるからこそだと思います。龍司の「メロ」が表層化するためには天の視点が不可欠なんです。だから、テクニック…と言えるかどうかわからないですけど、メロく描くぞ! と意識するよりも、このキャラクターは誰にどんなふうに愛情を向けるんだろう? と考えることを心がけています。

Park玉田 :龍司って、設定そのものはおどろくほどシンプルですもんね。でも天が見つけるかぎり際限なく魅力は増えて、それが個性として読み手に伝わっている。逆もしかりで。個性が記号にならず、個として完結させず、相手と関わってはじめて照らし出されるように描けるのは、窪田さんのかけがえのない魅力だと思います。

窪田マル :だから「龍司はべつにモテない」んです(笑)。天しか龍司のメロを引き出せないから!

Park玉田 :最高!!!

キャラクターだけでなく窪田さんは「メロい」を生み出すシチュエーションや展開作りも読者さんの心をつかんで離さないと思います。どのように思いつくことが多いでしょうか。

窪田マル :「メロ」に限らず、感情をゆさぶる出来事は生活の端々に潜んでいるので、とにかく日常にアンテナをめぐらせています。映画や本の中にも、友人間の会話や家族とのやりとりにも、言われて嬉しい言葉とか、嫌だったなと思うことって絶対にあるじゃないですか。でも感じるだけでそのままにしておくと通りすぎてしまうので、なんで嬉しかったのかな、悲しかったのかなって考えてメモしたり、誰かと話したり…二次作業をしています。そうすると作品を描く時にリアルな感情として引き出してふくらませられるので。

Park玉田 :打合せでも、傷ついた経験とか、傷つけてしまったことについて、よく話しますよね。

窪田マル :そればっかり話してますよね(笑)。特に、「メロい」を生み出すのであれば、嬉しかったことやときめきだけじゃなくて、されて嫌だったことややっちゃった自分の後悔がとても大きなヒントになります。負の側面に対して、このキャラクターならどうフォローしてくれるか、そもそも嫌なことをしないでいてくれるか、助けてくれるのかとか…。あとは、私自身が天邪鬼なので(笑)、自分や読者さんが具体的に想像できそうな言動や展開になるべくしないことは強く意識しています。想定外でありたい。想像を超えていきたい!

『君となら恋をしてみても』第5話「気づいてしまった」より 「されたくない」と「しないでいてくれる」を象徴するシーン。風邪で弱っている酷い格好の自分を「見ないで」と言った天に対して、目を閉じて抱き上げた龍司。天の気持ちを尊重している、龍司らしさあふれる名シーン。(コミックス第1巻)

今回のコンテストの題材でもある「メロい」。この題材には、無数の定義やイメージがあると思います。日々の生活の中で、窪田さんがメロさを感じる瞬間はありますか?

窪田マル :人の数だけメロがあるので難しいんですけど…(う~ん…としばらく悩み)、相手に直接伝える好意より、無意識に滲み出た愛情にメロさを感じてる気がします。たとえば…、アイドルの話でも大丈夫ですか?

Park玉田 :もちろん!

窪田マル :ある番組で料理にチャレンジする企画があったんですけど、みんな料理が苦手なのでただわちゃわちゃとはしゃいでたんですよ。それを、唯一料理上手なメンバーが、手伝うでも声をかけるでもなく、チラッと見てふっと微笑んだのを見た時「メロい」と思いました。こんなに優しい顔でメンバーを見つめるんだな、本当に彼らのことが好きなんだなと感じられてやられちゃいましたね。そういう、垣間見える愛情にメロを感じてるかもしれないです。自分で描くとしたら…、好きな人の後ろ姿を愛しそうに眺めているシチュエーションとか大好きですね。

Park玉田 :見つめているのが龍司だとすると、天はそれに気づいていないですよね?

窪田マル :ないですね。龍司も無意識だし、伝えたいとまったく思ってないのが個人的なメロポイントです。だから逆に、そんなのおかまいなしに後ろに好きな人がいるだけで思わず笑顔で振り返っちゃう天とかも大好きです。

Park玉田 :ずっとさりげない愛情に満ちているなら恋の世界…。

『君となら恋をしてみても』は、2026年5月に惜しまれつつも、堂々の完結を迎えられました。そんな大人気作品の誕生エピソードを教えてください。

窪田マル :こちらこそ、完結までお読みいただきありがとうございます! 誕生エピソードは無限にありますが(笑)、どこから話せばいいかな…。

Park玉田 :最初は私がお声かけして…。

窪田マル :そう! 当時の私は、デビューを目指していろんなジャンルに挑戦していた時期で、かなり迷走していました。とにかくデビューしたいけど、何を描けばいいのか、何が描けるのか、自分の強みも何もわからない状態で。そんな時に玉田さんが声をかけてくれて、BLを提案してくれて、「窪田さんの描く男の子がすごくいいから」っていう言葉に背中を押されて、やってみようと思いました。

Park玉田 :同人誌を拝見した際に、女の子以上に男の子のほうにフェチがクリアに反映されているように見えたんです。特に印象的だったのが、男の子の、腹に何か抱えてそうなもの言いたげな表情や、感情が暴かれた時の照れ顔、きらきらと屈託のない笑顔でした。いずれもとてもチャーミングに描かれていてかわいくて。加えて、同性同士の親密さの表現も多様で、どの作品も二人ならではの関係が描かれていて感動したので、はなからラブを扱っても絶対素敵だろうとBLを提案しました。あと、これは私の身勝手な希望ですが、窪田さんの作品で初めてBLに触れる人を増やしたかったというのもあります。間違いなくジャンルごと好きにさせてくれる描き手だと思いました。

窪田マル :うれしい…。でも、BLを描くと決まってからも、『君となら恋をしてみても』を即連載できたわけではなくて、たくさんの案が没になってますし、企画の立ち上げから連載開始まで1年以上の準備期間があったことは強めに言っておきたい…!(笑) あれこれと提出するものの、やっぱり自分に近しい場所やモチーフじゃないと私は描き続けられないなって途中で気づきました。だから、思い入れのある場所(江の島)を舞台にしたんです。それが結果的に大正解でした。

Park玉田 :大正解の大成功でしたね。江の島って決めてから、ふわっとしていたキャラの輪郭もどんどんくっきりしていきましたし。

窪田マル :どこで生まれて、どこで育って、どこに住んでいるのかって性格や振る舞いに必ず影響しますし、キャラが見ている景色も含めて具体的に想像できるようになったのが大きかったですね。特に龍司は江の島育ちがダイレクトに反映されているキャラクターだと思います。江の島じゃなかったら、龍司も天も全然違うキャラで、全然違う物語になっていただろうな…。私自身、実在する場所を舞台にしてマンガを描いたのは『なら恋』が初めてなんですが、いわゆる聖地の大事さを知りました。

Park玉田 :窪田さんはもともと背景を描くのもお好きですし、そういった意味でも舞台を江の島にできたのはとても幸福なマッチングだったなと思っています。原稿を受け取るたびにキャラクターにも背景にも萌えがつまっていて、体重を乗せて描いてくださっているのが伝わって感動していました。

窪田マル :あと…当時の自分と同じように、このインタビューを読んでくださっている方の中には、マンガ制作に悩まれている方もいると思うんですが、「舞台を決める」と急に見えてくるものもあるのでオススメしたいです。伝えたい…!

Park玉田 :特にキャラ造形で悩んでいる方は、どんな生活をしているキャラクターなのか、から考えてみてもいいかもしれませんね…!

2021年から約5年にわたる連載となりましたが、連載を振り返ってみて印象に残っていることや大変だったことはありますか?

窪田マル :嬉しかったことのほうが圧倒的に多いんですけど、大変だったこともいっぱいありました! とにかく5年間すべてがずっと手探りだった気がします(笑)。デビュー作っていうこともあって、何もかもが初めてでしたし、まず週刊連載の執筆ペースも全然うまくつかめなかったです。急ぐと雑になるし、かといってこだわると間に合わなくなってしまう…。自分の描くスピードと出力するクオリティの調整に必死でした。それと連載が始まって1年間くらいは読者さんの反応が気になって、1回1回更新されるたびにドキドキして緊張して、プレッシャーも大きかったです。

Park玉田 :今はずいぶん慣れましたか?

窪田マル :執筆面ではずっと必死ですが(笑)、更新のプレッシャーにはだいぶ慣れました。…慣れたというか、読者さんが楽しんでくれることを信頼できるようになりました! 自分の技術面にちょっと自信がついた部分もあるし、読者さんが0じゃないこと、楽しんでくれてる人がいることを信頼できるようになりました。アプリでいただくコメントやファンレターに本当に支えられていました。

Park玉田 :印象に残っていることは?

窪田マル :これも数えきれないくらいあるんですけど…。1巻の紙コミックスの刊行と、読者さんからいただいたファンレターのことでしょうか。もともと紙コミックスは夢の1つだったんですけど、最初の内は電子の配信のみで紙コミックスの予定はなかったじゃないですか。でも、いただくファンレターに単行本発売のご要望を書いてくださる方が本当にたくさんいて。そういう読者さんのお声のおかげで紙での単行本化が実現したので、決まりましたって連絡もらった時の電話めちゃくちゃ覚えてます。本当に感動して…。目の前にあるファンレターの山を見て、こんなに読んでくれてる・こんなに応援してくれている人がいるんだから頑張らないとっていう気持ちに改めてなりました。

Park玉田 :紙での刊行を編集部にかけあった際、決め手になったのが届いているファンレターの数と読者さんお一人お一人の熱量・愛情の強さだったので、本当にファンレターの力で本が出るんだ、ということを私自身初めて経験しました。

窪田マル :作家さんたちが「ファンレターが最も効果的!」って言ってるのって嘘じゃないんだ! と思いました。作品を読んでくれるだけでも十分なのに、お手紙まで書いてくれる人がいることが、本当にありがたくてありがたくて。精神面での支えだけじゃなくて、誇張抜きで読者さんに夢を叶えてもらったと思っています。そのあとコミックスが出て書店に並んでるのを見た時には「マンガ家になったんだなあ」っていう実感がわいて、すごい嬉しかったし、ホッとしたというか…。やっとこれからも描き続けていいんだなあって思えたような気がします。その後、ボイスドラマにしていただいたり、いろんなコラボ展開やグッズ、素晴らしい実写ドラマも作っていただけて。さっき大変なこといっぱいしゃべっちゃいましたけど(笑)、嬉しかったことのほうが挙げだすとキリがないです。

マンガにとどまらず、SNSやグッズなど各種媒体で展開されているイラストのセンスも抜群な窪田さん。窪田さんが感じるイラストを描く時とマンガを描く時との共通点や違いはありますか?


窪田マル :これは明確に違いがあって、マンガは、二人が生活している時間を場面として切り取る感覚で描いています。どちらかというと、自分が映像作品の監督になってるイメージですね。一方でイラストは、カメラマンとして二人を撮影している感覚に近いです。特にグッズ用のイラストは、雑誌やグラビアの撮影で、一瞬の表情や空気感を切り取るようなイメージで描いています。共通して意識しているのは、イラスト一枚であってもストーリー性を感じられるようにすることです。二人の関係性や、その前後にどんなやり取りがあったのかが想像できるような一枚だと、見ていてより楽しんでもらえるかなと思って。

Park玉田 :たしかに窪田さんの描かれるマンガもイラストも表情が生き生きしているものばかりですよね。笑い声が聞こえてきそうだったり、撮影の裏側を想像できたり。

窪田さんが選ぶ『君となら恋をしてみても』又は『されたがりベイビー』のメロい1コマを教えてください。

窪田マル :1つだけですか!?

Park玉田 :なんとかがんばって、ココ! という1コマを…!

『君となら恋をしてみても』第25話「君を知って」より(コミックス第5巻)

窪田マル :待てができる男、メロです。

Park玉田 :「待て」ネームでも爆沸きしましたよね! このシーンを挙げてくださった理由は?

窪田マル :思いやり・親切心に下心が混ざっていないところにメロさがあるからです! 下心があることも、下心あるって言うことも、それ自体は全然構わないんですよ。でも思いやりには混ぜてほしくない。それが相手にとっても、そして読み手にとっても安心と信頼のメロさにつながると思っています。メロって「安心」あってこそなので! これ、私にとっての「メロさ」で挙げたほうがよかったかも…!?

Park玉田 :メロは「安心」! 格言だ…! 見返りや対価とは無関係の思いやりって、とても心地よく受け取れますもんね。窪田さんが彼らの安心を常に意識されているから、読み手である私達も安心してときめけるんだと思います。

マンガラボ!へ投稿する方々へメッセージをお願いします。

窪田マル :今回は私にとってのメロい男の子やキャラについてお話しましたが、メロは人の数だけあるので、何が正解も間違いもないと思います。なのであなただけのメロをとことん追求してぜひマンガを作ってみていただければと思います!

Park玉田 :最後に、その、キャラの魅力を読者さんに伝わるかたちで表現するのってとても難しいと思うのですが、窪田さんが気をつけてらっしゃることを1つ教えていただけますか?

窪田マル :絵の面だと、目ですかね…! 瞳の位置とか、視線の流れとかはかなり意識してます。読んでいて「目が合ってないな」って感じたら気持ちが入っていかないですから。目が合うのは必ずしも読者さんとだけじゃなくて、誰が誰を見て言っているのかが明確であることが大事だと思ってます。なので「メロセリフだぞ!」というセリフを言う時も、セリフ以外の部分でさらに説得力を持たせるために目線の置きどころは最後まで微調整を重ねたりします。描いていて「なんか決まらないな…」というコマがあればいったん目線を確認してみてもらえると、「決まった!」のヒントが得られるかもしれません!

♡ ♡ ♡ ♡ ♡

窪田マル先生、ありがとうございました!

関連記事