マンガラボ！月間ＭＶＰ発表！！【2021年7月期】

あづさんの作品を拝見して、一番印象的なのは、キャラクターの「眼力」です。
読者をぎゅっと見据えて物語に引き込む目の力。印象的だしハッタリはきくし、ものすごい武器だと思います。
カラーも1色も、この1年間で目を見張るほど画力が向上されているのもすごいことです。
他投稿作になりますが、「私から逃げないで」のテンポいいアクションからの小気味いいオチ、「大悟メシ」のメシウマ顔もすごくいい。
お話の方も、ラブコメからピーターパンが迎えに来る社畜女まで、柔軟な発想と多くの抽斗でいつも驚かされます。
今回の「サツキソウ」も、ラストの桜月の目力がまずいいですね。
髪を切った彼女がまっすぐな目で読者を見据える、そこに迫力があることで、テーマである「自分を自分で好きになる」に説得力を持たせています。
花屋さんが同世代に見える演出も、花とテーマを重ねるところもよく考えらえていると思います。
欲を言うならば、桜月のキャラクターがより読者に分かるといいなと思感じました。
作中で「最初は面白かったけれど時々怖い、壁がある」と評されている彼女は、おそらく、本当は一人でいることが好きなのに、頑張って友達に合わせて疲れちゃったのかな…？と予想したのですが、（だから、花屋さんと最初に話しているときにも挙動不審に…？）でも、そうだと言い切れるエピソードがないので、今一つ分からないままになっています。
このお話のテーマが「自分がまず自分を好きになる」であり、長い髪をさっぱり切ったことで彼女が「自分が憧れられる自分」になったのであれば、本来の桜月がどういう子なのかを、冒頭や花屋さんと出会った時のモノローグなどで読者にもう少し分かるように補完して上げられると更に桜月に読者が共感できるのでは。
そうは言っても、現状のページ数ではキャラクターの内面を掘り下げるのは限界があるかと思います。
もちろん短いページでバシッと見せるのも大切な力ですが、ネタによってはぜひもう少し長めのページにも挑戦して、書けるものの幅を広げていただけたらと思います！これからも大変期待しております。